2023/05/06 11:58
https://twitter.com/bmyasu/status/1485963461511155716?s=46&t=Mz33qxckp16CxCxT6wLF7g
さて本日からゆるゆると「日本現代うつわ論1」の全編レビューを始めましょう。
編集人という立場の私が内容に言及するのもいかががなものだろう?(あるいはそれが答えのようになってはならないし)とあまり突っ込んだ話はしてこなかったのですけれども。
ここから書く事はうつわ本の「青山の読み方」を示すガイドであり決して『正解』ではないことを強調しておきます。
まずは大槻香奈さんによる『はじめに』から。
・・・と、言いつつこの内容に関する言及は一通り終わってから書くことにします。
読者の皆様まずこの「はじめに」読んで、通読した後もう一度読み直すことを強く推奨します。
そしてできることならば河合隼雄『中空構造日本の深層』を複読本として頭や感覚の片隅に置きながら読み進めることで、この本全体を通じて記されている内容がより立体的に捉えられるようになるのではないでしょうか。
この「日本現代うつわ論1」に何かしらのシンパシーを抱く人が、この『はじめに』に書かれた内容を考える際には恐らく、自己言及的になる傾向にあるのではないかと思います。特に通読した後、そして『中空構造日本の深層』を読み終えてからこのテキストに向き合うことはある種の鏡のような機能を果たすでしょう。
(『はじめに』と本の紹介であるのに既に大槻香奈による自己言及となっているのは、そうした機能を孕む本であることを示唆している、とも言えるかもしれません。)
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https://twitter.com/bmyasu/status/1491404841469771776?s=46&t=Mz33qxckp16CxCxT6wLF7g
さて「日本現代うつわ論1」昨日で一通りのレビューが終わりましたが、ここで再び大槻香奈さんによる『はじめに』に戻りましょう。
一通り全てのテキストに目を通した我々には、最初に読んだ時とは全く異なる解像度で”うつわ”を捉えることができるでしょう。
このテキストの前半では、大槻香奈さんの自己紹介と共に”うつわ”という概念を獲得するに至った経緯が述べられます。日本社会に存在する空虚さを理解し描こうとする過程で”うつわ”に辿り着く経緯については無論ここで述べられる通りです。
しかし、この本で我々が浮かび上がらせようとしている”うつわ”は大槻さん個人にのみ還元される概念ではなく、この本全体を通じて様々なレイヤーで語られ、そして異なる形で表現される物事の全体像です。
正確に言えば、ここで示される”うつわ”は”うつわ”全体の一部でしかありません。
『はじめに』で述べられる”うつわ”の姿はこの本に掲載された様々なテキストによって逆照射されることで浮かび上がります。繰り返しとなりますがそれは”うつわ”のごく一端が可能性として示されただけに過ぎないでしょう。
これは日本現代うつわ論『1』です。
示されるうつわの形は『2』、『3』と続くうちにより明確になるかもしれません。しかし、”うつわ”の可能性は、読み手ひとりひとりがそれぞれの”うつわ”を考えることで本当の意味で拡張されていきます。
この本をお手に取って頂いた皆さまが”うつわ”と共にあらんことを。
そしてそれがこの世界で少しでも美しく生きるためのきっかけになれば幸いです。
どうぞよろしく、ぜひお手元にてお楽しみください。
《青山泰文》