2023/05/04 12:01



https://twitter.com/kanaohtsuki/status/1469281562579841025?s=46&t=Mz33qxckp16CxCxT6wLF7g

少女主義的水彩画家のたまさんにロングインタビューをさせて頂きました。本書では、たまさんの生まれ故郷での自然体験や忘れたくない思い出の数々、描き留めておきたいことの色々を存分に語って頂きました。「病みかわいい」では収まれない良さに溢れています。

画面に目一杯モチーフの描かれた作品群はどこも切り捨てるべき箇所がなく、たまさんの中に浮かび上がる情景が限りなく詳細に出力されていると感じます。それは現実に見えすぎてしまう色々を、描くことによってひとつずつ受け止める祈りのような行為に見えます。

他人にとってはどうでも良くても自分にとっては大切なことが、きっと誰にもあるのではないでしょうか。共感だけでは取りこぼしてしまう色々を絵が拾い上げてくれるようです。たまさんの刺激的かつ豊かな思い出エピソードを本書でぜひ!

《大槻香奈》



https://twitter.com/bmyasu/status/1490684864512737281?s=46&t=Mz33qxckp16CxCxT6wLF7g

『日本現代うつわ論1』全編レビュー。本日はたまさんへのロングインタビュー。

やはりこれもインタビューという形式を取りながら、お二人が相互にご自身の作品についての様々な物事を再発見する過程であります。


表層のイメージで言えば完全に私の守備範囲外の作風でしたので、このような機会がなければたまさんの作品に出会うこともなかったでしょう。

しかしながらご本人の言葉を読みながら作品を見ればやはりそこに”うつわ”性が浮かび上がってきます。


私の論考で取り上げたように、鈴木大拙は”日本的霊性”を育んだものが”風土”であると述べます。

ここで言及される”日本的霊性”は禅的な物事を受け入れる土壌でありうつわ的中空構造と接続される感覚です。


なるほど、たまさんの作品には”病みかわいい”では収まりきらない、土着性が見出されます。

日本的な風土に見出されるあらゆる自然の物事、花や木々や土壌、そこに連なる生き物たち、その関連の中でやってくる畏怖が溢れているようです。


そしてその風土にあるあらゆる物事が、気持ち悪いもの恐ろしいもの可愛らしいもの美しいもの全てが等しい強度で描かれます。

全てが等しく関連しあっている

風土といううつわの中にある物事、そしてその中にいるものの眼差しが浮かび上がります。


そのようなイビジュアルイメージから何かしらの物語を見出すとすれば、それは土着信仰や神話と呼ばれるものに近いストーリーを紡ぐことになるでしょう。

表層のイメージだけに留まらない、風土に深く根ざしたある種の普遍性を持った感覚がそこにあるでしょう。


最後のロングインタビューが鈴木大拙-河合隼雄の論に見出される風土性の話と接続するとはこのうつわ本は大変鮮やかな構成だな、と思います。

(そんな形で接続できる話や視点が集まっていることが奇跡的です。)


ということでたまさんの作品とお言葉を、他の論考やインタビューで示された視点と比較しながら楽しむのも良いのではと思います。

よろしくどうぞ。

《青山泰文》